オンラインで商品を購入することが当たり前になった現代。
2020年春以降は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、オンライン化の流れが拡大し、「ライブコマース」を実施する企業も増えてきました。
しかし、ライブコマースの事例はまだ多いとは言えず、自社で実施するかどうかの検討材料が少ないと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、日本におけるライブコマースの成功事例についてご紹介します。
Contents
そもそもライブコマースって?
「ライブコマース」とは「ライブ配信」と「Eコマース」を掛け合わせた販売手法です。
「ライブ配信」とは映像と音声をリアルタイムに届けることで、「Eコマース」とはインターネットで物を売買すること。
つまり、ライブコマースは、リアルタイムで商品を紹介する映像と音声を届け、視聴者にインターネット上で商品を購入してもらう手法ということになります。
従来のECサイトでは、テキストや画像のみで商品情報を伝えていたのに対し、ライブコマースでは映像と音声でより詳細な情報を伝えられるようになりました。
テレビショッピングに例えられることも多いですが、テレビショッピングとの最大の違いは、「リアルタイムで双方向にコミュニケーションが取れる点」にあります。
テレビショッピングでは、出演者が一方的に商品の説明をすることしかできないのに対し、ライブコマースでは、視聴者からの質問やコメントにリアルタイムで回答することができます。
インターネット上でも、まるで店舗にいるかのようにコミュニケーションが取れることで、視聴者の不安を解消し、購買意欲を刺激することができるのです。
日本におけるライブコマース事情
日本は接客文化が強い国であり、リアル店舗の需要が高いだけでなく、他の国と比べ国土も狭いため、Eコマースの市場の成長率は低い状況でした。
日本でライブコマースが始まったのは2017年頃ですが、まだまだ浸透している販売手法とは言えません。
しかしながら、今後日本でもライブコマース市場は確実に成長していくと考えられます。
その理由をご説明します。
新型コロナウイルス感染症の流行
日本は島国のため、かつては疫病の流行の影響を受けることはそこまでありませんでしたが、新型コロナウイルス感染症は猛威を奮い、市場の変化に大きな影響を及ぼしました。
巣ごもり消費が加速し、企業はデジタルシフトを余儀なくされる中、ECサイトはもちろん、ライブコマースを取り入れる企業も徐々に増えてきました。
ライブ配信を行う企業やブランドも多くなり、消費者のライブを見る文化が醸成されつつあります。
企業のデジタル広告やコミュニケーションの変化
近年、広告のCPC(クリック単価)やCPA(獲得単価)が年々上がっており、消費者の広告慣れが起きてしまっています。
インフルエンサーによるPR投稿も”PR感”や”広告臭”が強いものが多く、消費者に受け入れられにくい状況です。
また、Amazonや楽天で価格比較をし購入できるようになったことから、このブランドだから買いたいといった、ブランドロイヤリティーが薄まっています。
ライブコマースは、リアルタイムで相互コミュニケーションを取れることで、ブランドストーリーや企業の透明性を伝えやすく、信用を得られやすい販売手法と言えるでしょう。
デジタルの発展
日本では2020年3月より5Gの本格的な活用がスタートしました。
遅延なくライブ配信できることから、よりリアルに近いコミュニケーションが取れるようになります。
また、インスタグラムの機能の1つであるIGTVやリールから直接物が買えるようになるアップデートが行われるなど、ライブ視聴側だけではなく配信側のインフラも整いつつあります。
消費者の趣味嗜好や行動変化
SNSが発展し、自分の好きなものを選択し見れるようになったことで、人々の趣味嗜好は多様化しました。
在宅時間が長くなることでインターネット使用率だけでなく、YouTubeをはじめとした動画の視聴時間が長くなっています。
ライブを通してブランドストーリーを伝えることで、可処分時間を獲得できるだけでなく、ブランドロイヤリティーも高めることが可能になるでしょう。
日本における成功事例
すでにライブコマースの国内成功事例も出てきています。4つご紹介します。
大手コスメメーカーA社
A社のコスメブランドは、以前からSNSでのPRに投資して行っていたものの、PRに留まっている状況でした。また、女性コスメ雑誌のインスタライブも実施していましたが、コマースには繋がっていませんでした。
そこで、商品知識が多く、また元美容部員の方のため、プロの知識や視点から話すことができるフォロワー約3万人の美容家インフルエンサーを起用し、ライブコマース用の限定商品パッケージを考案。コマース機能があるプラットフォームのHandsUPを利用し、ライブコマースを実施しました。
その結果、ライブ配信中に、ライブコマース限定パッケージを200万円以上売り上げました。さらに、動画のアーカイブ期間も含めると、560万円の売り上げを達成することができました。
大手お菓子メーカーB社
国内の大手お菓子メーカーB社のブランドは、テレビCMの15秒間では、商品のキーコンセプトを表面的にしか表現できず、キーコンセプトに込めている深い意味を伝えきれない、という課題を抱えていました。
そこで、新たなプロモーション施策として、ライブコマースが導入されました。
お菓子そのものをPRするのではなく「家族の絆」をテーマに、InstagramのIGTVでライブ配信を企画しました。さらに、「家族の絆」から「クイズ軸」「料理軸」「CMテーマ軸」の3テーマを展開し、3日連続、テーマ別で出演者の違うライブ配信を行いました。
結果、3日間の生配信中の総視聴者数は51,000人、総視聴者数は450,000人を達成。ライブ3日後にはライブコマース限定商品が完売し、Amazonランキング入りも果たしたため、コマースとしても一定の成果を上げることができました。
テレビCMと違い、視聴者が30-40分という長い時間滞在するため、これまで伝えきれていなかった商品のキーコンセプトを明確に伝えることができました。
大手家電メーカーC社
外資系大手家電メーカーC社のテクノロジー面に強みを持つ掃除機ブランドでは、SNSを使ったPRを以前から行っていましたが、形骸化して効果が薄まってきていたという課題があり、新しいPR手法としてライブコマースを取り入れられました。
また、これまでのPRでは、テクノロジー面・性能面を全面に出していたため、実際に掃除機を使うターゲットである、ファミリー層には響きにくいという課題感もありました。
そこで、ファミリー系のKOLかつ、元々熱烈なブランドユーザーをキャスティングし、自分の言葉で使い方やコツを高熱量で話してもらいました。PRするポイントも「性能」から「生活環境の向上」へ変更しました。
その結果、HPでは伝え切れていない、製品のユーザビリティを40,000人の視聴者に伝えることができました。ライブ配信でユーザビリティを理解し、HPで詳細な性能を知った上で、購買する、という流れを設計することができました。
大手総合アパレルメーカーD社
アパレルのライブコマースでは、トルソーに服を着せて、ECサイトに書いている情報を話しているだけになってしまったり、ただの新商品紹介になってしまったりなど、離脱率が非常に高い事例が多いのが実態です。
D社のブランドでは、少し変わり種のライブコマースを実施。
プレスルームをお店風にして、KOLと専属スタイリストが買い物を楽しんでいるようなシチュエーションを作りました。そして、おすすめの服をAパターン・Bパターン選び、視聴者にどちらがいいか質問し、回答が多かった方にKOLがライブ配信中生着替えをしました。着替え中はカメラをスイッチングし、ブランドスタッフがKOLが選んだ服やその周辺アイテムについて詳細を紹介しました。
配信の画質やテクニカル面を含め、テレビの生放送と同クオリティの配信をInstagramで行うことに成功。国内の大手アパレルメーカーをもってしても、視聴者数が200程度しかないという事例が多い中で、常時同時接続者は2,500人以上となりました。
失敗するライブコマースの特徴
日本の企業も将来を見据えて、早めにライブコマースに取り組むことが望ましいと言えますが、ライブコマースは実施すれば成功する簡単な販売チャネルではありません。
通常のSNS投稿や広告とは異なり、ライブコマースはリアルタイムで行うもの。修正が不可能なため、正しい方法で行わないと成果が上がらないのです。
失敗する企業の特徴は、商品を売るということにフォーカスしすぎて、視聴者数が少なく離脱率が高いことが挙げられます。
具体的な要因は以下の通り。
ハード面→画質が悪い/画面が暗い/台本が見えている ソフト面→一方通行のコミュニケーション/インセンティブがない など |
ライブコマースはテレビのように一方通行ではないため、視聴者をアクティブにする必要があります。
また、テレビCMのように強力なメディアで強制的に認知させる「強制認知」ではなく、興味関心に合わせて能動的に発見されることで好感度の高い認知を獲得する「好感認知」になるため、ライブを見に来てもらう仕組みづくりをすることが重要となります。
しっかりと準備をして臨みましょう。
ライブコマースを成功させるためには
「ターゲットが見にきたくなるライブ」「ターゲットが購入したくなるライブ」を実現するには、どうしたらよいでしょうか。
関連記事で詳細をご確認いただきながら、以下のステップを順番に進めていきましょう。
1. ライブ配信の目的を決める 2. 商品を決める 3. ターゲットを決める 4. 企画内容を決める 5. プラットフォームを決める 6. 視聴導線・購買導線を作る 7. 出演者のキャスティング 8. 台本作成 9. 必要機材の準備 10. ライブ配信 11. データ分析 |
まとめ
日本のライブコマース市場はまだまだ黎明期ですが、成功事例をご覧いただいたように、しっかりと戦略を立てれば、売上アップやファンコミュニティ形成などの目的を達成することができます。
どのように戦略を立て、実行すればよいのかわからない方は、ぜひ戦略型ライブコマースの「LIVURU」にお問い合わせください。
これまで、150以上のライブを企画、実行してきた経験を元に、「LIVULU」では集客、販促企画、ライブ体制、演者教育、分析・報告まで、ライブコマースの全体プランニングを一括で行い、PDCAを回し、質の高いライブを提供します。
用意するのは、売る商品だけでOK。
「LIVULU」は、「ターゲットが見にきたくなるライブ」「ターゲットが購入したくなるライブ」を実現します。
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