オンラインで商品を購入することが当たり前になった現代。
2020年春以降は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、オンライン化の流れが拡大し、「ライブコマース」を実施する企業も増えてきました。
しかし、ライブコマースの事例はまだ多いとは言えず、自社で実施するかどうかの検討材料が少ないと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、そもそもライブコマースとは何なのか、中国と日本の市場動向、失敗するライブコマースの特徴、ライブコマースを成功させるための11ステップなど解説します。
Contents
そもそもライブコマースって?
「ライブコマース」とは「ライブ配信」と「Eコマース」を掛け合わせた販売手法です。
「ライブ配信」とは映像と音声をリアルタイムに届けることで、「Eコマース」とはインターネットで物を売買すること。
つまり、ライブコマースは、リアルタイムで商品を紹介する映像と音声を届け、視聴者にインターネット上で商品を購入してもらう手法ということになります。
従来のECサイトでは、テキストや画像のみで商品情報を伝えていたのに対し、ライブコマースでは映像と音声でより詳細な情報を伝えられるようになりました。
テレビショッピングに例えられることも多いですが、テレビショッピングとの最大の違いは、「リアルタイムで双方向にコミュニケーションが取れる点」にあります。
テレビショッピングでは、出演者が一方的に商品の説明をすることしかできないのに対し、ライブコマースでは、視聴者からの質問やコメントにリアルタイムで回答することができます。
インターネット上でも、まるで店舗にいるかのようにコミュニケーションが取れることで、視聴者の不安を解消し、購買意欲を刺激することができるのです。
中国はライブコマース先進国
中国におけるライブコマースは、大手EC企業が参入したことで一気に拡大しました。
2016年、アリババ傘下のECサイト淘宝(タオバオ)が「淘宝直播(タオバオライブ)」を開設し、EC大手の京東(JD.com)もサービスを提供し始めました。
その後、微信(WeChat)や新浪微博(Weibo)などのSNSや抖音(TikTok)や快手などのショート動画コンテンツツールでも、専用チャネルが設けられるようになりました。
KPMGとアリババ集団傘下のアリ研究院が発表したレポート「1兆元市場に向かうライブコマース」によると、ライブコマースの市場規模は、2020年は1兆元を突破し、2021年も急成長して1兆9,950億元(1元=約17円換算、約33兆9,150億円)にまで拡大すると言われています。
中国でライブコマース市場が急拡大している理由としては、以下の6つが挙げられます。
出所
疫病の影響
SARSやMARS、そして今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、リアル店舗での売上が見込めず、デジタルシフトするようになりました。
特にコロナ禍においては、外出自粛で店頭で直に手に取って商品を確認できない状況が続き、商品の情報をより詳しく知ることができるライブコマースの需要が増大しました。
偽物の流通
中国ではブランド等の偽物が市場に多く出回っており、「買ってみたら偽物だった」ということも発生しやすい状況です。
したがって、他の人の口コミやインターネット上での議論などを見て購入を決める傾向があります。
企業に対する信用度が低いため、人への信頼度を通した物の購入が発展しました。
中国のKOLの影響力
KOLとは、“Key Opinion Leader”の略で、SNS上で影響力の大きいインフルエンサーのこと。
KOLのSNSアカウントには数百万人〜数千万人のフォロワーがおり、彼らの影響力を用いたマーケティングが発展しました。
中国では偽物や低品質な商品も多く流通する中、自分で商品を吟味する手間が省けるため、「信頼しているインフルエンサーが良いと言っているものを買う」という購買行動が起こりやすい状況です。
国土の広さ
人口約14億人の中国。
黎明期は北京、上海、広州など沿岸都市中心でしたが、今では内陸の農村部にもECが拡大し、中国全土で定着しています。
リープフロッグ型発展
リープフロッグを日本語に訳すと「カエル跳び」
リープフロッグ型発展とは、既存のインフラが整備されていない新興国において、新しいサービスが先進国の歩んできた技術進展を飛び越えて一気に広まることを意味します。
日本やアメリカなどでは、スーパーマーケットやショッピングモール、コンビニエンスストアまで実際の店舗が充実していましたが、中国ではそうではありませんでした。
リアル店舗の整備という段階を飛び越えてECが発展、リープフロッグしたのです。
5Gの出現
中国では2019年に5Gの商用時代に突入しました。
5Gは「超高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」が特徴で、タイムラグ無しで配信者と視聴者がコミュニケーションを取ることや高画質でリアリティのある映像を配信できるようになりました。
日本におけるライブコマース事情
日本は接客文化が強い国であり、リアル店舗の需要が高いだけでなく、他の国と比べ国土も狭いため、Eコマースの市場の成長率は低い状況でした。
日本でライブコマースが始まったのは2017年頃ですが、まだまだ浸透している販売手法とは言えません。
しかしながら、今後日本でもライブコマース市場は確実に成長していくと考えられます。
その理由をご説明します。
新型コロナウイルス感染症の流行
日本は島国のため、かつては疫病の流行の影響を受けることはそこまでありませんでしたが、新型コロナウイルス感染症は猛威を奮い、市場の変化に大きな影響を及ぼしました。
巣ごもり消費が加速し、企業はデジタルシフトを余儀なくされる中、ECサイトはもちろん、ライブコマースを取り入れる企業も徐々に増えてきました。
ライブ配信を行う企業やブランドも多くなり、消費者のライブを見る文化が醸成されつつあります。
企業のデジタル広告やコミュニケーションの変化
近年、広告のCPC(クリック単価)やCPA(獲得単価)が年々上がっており、消費者の広告慣れが起きてしまっています。
インフルエンサーによるPR投稿も”PR感”や”広告臭”が強いものが多く、消費者に受け入れられにくい状況です。
また、Amazonや楽天で価格比較をし購入できるようになったことから、このブランドだから買いたいといった、ブランドロイヤリティーが薄まっています。
ライブコマースは、リアルタイムで相互コミュニケーションを取れることで、ブランドストーリーや企業の透明性を伝えやすく、信用を得られやすい販売手法と言えるでしょう。
デジタルの発展
日本では2020年3月より5Gの本格的な活用がスタートしました。
遅延なくライブ配信できることから、よりリアルに近いコミュニケーションが取れるようになります。
また、インスタグラムの機能の1つであるIGTVやリールから直接物が買えるようになるアップデートが行われるなど、ライブ視聴側だけではなく配信側のインフラも整いつつあります。
消費者の趣味嗜好や行動変化
SNSが発展し、自分の好きなものを選択し見れるようになったことで、人々の趣味嗜好は多様化しました。
在宅時間が長くなることでインターネット使用率だけでなく、YouTubeをはじめとした動画の視聴時間が長くなっています。
ライブを通してブランドストーリーを伝えることで、可処分時間を獲得できるだけでなく、ブランドロイヤリティーも高めることが可能になるでしょう。
失敗するライブコマースの特徴
日本の企業も将来を見据えて、早めにライブコマースに取り組むことが望ましいと言えますが、ライブコマースは実施すれば成功する簡単な販売チャネルではありません。
通常のSNS投稿や広告とは異なり、ライブコマースはリアルタイムで行うもの。修正が不可能なため、正しい方法で行わないと成果が上がらないのです。
失敗する企業の特徴は、商品を売るということにフォーカスしすぎて、視聴者数が少なく離脱率が高いことが挙げられます。
具体的な要因は以下の通り。
ハード面
・画質が悪い
・画面が暗い
・台本が見えている
ソフト面
・一方通行のコミュニケーション
・インセンティブがない など
ライブコマースはテレビのように一方通行ではないため、視聴者をアクティブにする必要があります。
また、テレビCMのように強力なメディアで強制的に認知させる「強制認知」ではなく、興味関心に合わせて能動的に発見されることで好感度の高い認知を獲得する「好感認知」になるため、ライブを見に来てもらう仕組みづくりをすることが重要となります。
しっかりと準備をして臨みましょう。
ライブコマースを成功させるための11のステップ
ライブコマースを成功させるためには、以下のステップを順番に進めていく必要があります。
それぞれの工程を説明します。詳細は関連記事も併せてご確認ください。
ライブ配信の目的を決める
闇雲に実施するのではなく、まずはライブコマースを実施する目的を明確にすることがポイント。
また、視聴者数やコンバージョン、継続的なコミュニティの形成など、「どうなったら成功と言えるのか」の定義も決めておきましょう。
商品を決める
目的を決めたら、次は商品です。
予定配信時間内でどのくらい紹介できるかを考え、紹介する商品を選びます。
ターゲットを決める
しっかりターゲット設定できていないと、どんなに企画内容や集客方法を工夫しても見られず、見られたとしても購入されないライブになってしまいます。
ターゲット=買っていただくお客様は、広く設定しすぎず絞り込むことが重要です。
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企画内容を決める
視聴者が見たくなるような企画内容を決めていきます。
離脱せずに視聴し続けてもらうには、商品についての説明だけでは不十分。
エンターテイメント性を盛り込んだ魅力的な企画にしましょう。
プラットフォームを決める
動画をリアルタイムで配信できるプラットフォームであれば、ライブコマースも実施可能です。
プラットフォームの種類は「SNS型」「アプリ型」「システム型」の大きく3つに分けられ、それぞれにメリット・デメリットがあるため、目的に沿ったプラットフォームを選ぶのがポイントです。
ライブコマースの実施の検討段階であれば、まずは無料でライブ配信が行えるInstagramで試験的に実施してみるのがおすすめ。
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視聴導線・購買導線を作る
ライブコマースでは、長時間視聴者が滞在することになります。
どんなにブランド力があっても、自社SNSアカウントのフォロワー数が多くても、有名なインフルエンサーを起用しても、視聴&購入してもらうための導線/動機を作りこまない限り成功しません。
しっかり戦略を練りましょう。
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出演者のキャスティング
商品知識が乏しく視聴者からの質問に答えられなかったり、視聴者に向かって意図せずともネガティブに受け取られる発言をしてしまったりなど、出演者次第で企業のマイナスブランディングにも。
出演者には、質問に正確に回答できる商品知識やコメントを拾いながら視聴者の不安を取り除いて購入を後押しするマーケター視点が求められます。
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台本作成
台本を用意しておけば、アピールポイントを伝えそびれることなく、効果的に商品を訴求することができます。
エンターテイメント性が高い台本は、視聴者の購入意欲を上げることに繋がるでしょう。
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必要機材の準備
ライブコマースの企画内容によって必要な機材やスペックは大きく変わってきます。
アパレルや化粧品を販売する企業は、ブランディングによる世界観の醸成が重要であるため、クオリティの高い映像や音声を届けるための機材が必要になるでしょう。
映像が乱れていたり、音声が聞き取りにくかったりすると、視聴者の満足度を著しく下げてしまうため、予算内でなるべく高スペックな機材を用意するのがおすすめです。
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ライブ配信
ライブ配信中は、”リアルタイムでの配信”という特性上、トラブルが起きることもしばしば。
途中で接続が落ちるといった「インターネット接続トラブル」や周囲の雑音が入る「音声トラブル」、ライブ配信を荒らす「視聴者トラブル」や商品を忘れたり金額を間違えたりする「出演者トラブル」など、さまざまトラブルが発生する可能性があります。
あらゆるリスクを念頭におき、何度もリハーサルを行った上で、トラブルが起きてしまった時に速やかに対処できるよう準備しておきましょう。
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データ分析
ライブ配信後は、「視聴アカウント数」「ユーザーの離脱率・離脱タイミング」「コメント数・コメント内容」を中心に分析し、次回ライブ配信に向けた改善ポイントを洗い出すことが重要です。
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ライブコマースについて相談したいときは
ライブコマースは新しい販売手法として大きな可能性を秘めていますが、実施すれば必ず成功するというものではありません。
これまで見てきたように、実施にあたってはいくつもの工程があり、それぞれの工程で考慮すべきことも多いため、自社でライブコマースに取り組むことに不安を感じられている方も多いのではないでしょうか。
戦略型ライブコマースのLIVURU(ライブル)では、全体プランニングから、大変な台本制作・演者教育・現場ディレクションまで、全てワンストップでサポートしています。
用意するのは、売る商品だけでOK。
これまで150以上のライブを企画、実行してきた経験を元に、”見られるライブ”、”売れるライブ”を実現します。
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