これからのライブコマースの話をしよう - 戦略型ライブコマース【ライブル】

こんにちは。Tailor Appの松村と和田です。

誰もが自由にブランドを持ち、情報を発信できる時代。ビジネスの機会はますます平等で多様なものへとシフトしてきました。しかしその一方で、今まさに転換期を迎えているのが「WEB広告」です。

多くのブランドの台頭により、消費者は無限の選択肢にさらされ、各ブランドは差別化に頭を悩ませています。その結果、ブランドのWEB広告の出稿量は増大し、顧客獲得コスト(以下CPA)も高騰の一途をたどるなど、獲得型の広告は頭打ちとさえ言われるようになりました。

そんななかで、いま注目を集めているのが「顧客と企業の関係性(以下、エンゲージメント)」を重視したマーケティング。すなわち、いきなり商品を売り込むのでなく、情緒的な価値やブランドの世界観を伝えるところから顧客との関係性を築いていく手法です。

こうした世の変化を受け、Tailor Appでは、ライブコマースを中心とした新たなWEB広告の形として『4つの型からなる「ライブソリューション」』を定義しました。

ライブソリューションは、インフルエンサーが商品をライブ配信で売るという従来のイメージにとどまりません。エンゲージメントの獲得やCRMまでをカバーする、まったく新しい「これからのライブコマース」の形です。

この記事では、そんな「ライブソリューション」について、具体的にどういったものかを詳しく紹介します。


【この記事の執筆者】
松村夏海(株式会社Tailor App代表取締役社長)
1997年生まれのZ世代経営者。大学在学中にライブコマースシステム会社に入社。ライブコマースのノウハウをひととおり学び、2020年に株式会社Tailor Appを設立。

和田英男(株式会社Tailor App取締役)
1986年東京生まれ。幻冬舎やファッション雑誌『Free&Easy』など出版業界にて活躍後、ベンチャー企業や外資系家電メーカーを経て2020年に株式会社Tailor Appを設立。


「ライブソリューション」とは

これまでのライブコマースのイメージ

まずは前提として、これまでの「ライブを使った販促」をおさらいしましょう。

これは日本でよく使われるWEB/リアルの広告を「ターゲット✕目的」の四象限で整理したものです。各軸の意味は以下をご覧ください。

<縦軸:ターゲット>

・顕在層:商品やブランドの必要性を感じている層向けの広告
・潜在層:商品やブランドの必要性をまだ自覚していない層向けの広告

<横軸:目的>

・コンバージョン:商品を購入させるための広告
・エンゲージメント:顧客との関わりを深めるための広告

さて、この図にいわゆる「ライブコマース」を当てはめる場合、みなさんはどの位置をイメージしますか。

おそらく多くの方は、一番右下の「TVショッピング」あたりを考えたのではないでしょうか。そう、現状の日本では「ライブコマース=TVショッピング」のように認知されているのが一般的です。

しかし、本当にそれだけなのでしょうか?

当社の答えは、「NO」です。

実はライブ配信は、TVショッピング的なライブコマースのみならず、上記の四象限をすべてカバーするマルチな販促施策なのです。

この考えをまとめたのが、これからご説明する「ライブソリューション」です。

「ライブソリューション」とは何か

「ライブソリューション」とは、簡単に言うと「ライブ配信を活用した販促全般」のことです。ライブソリューションには、いわゆるTVショッピング的な販促のほか、顧客との関わりを深める「エンゲージメント獲得」や「CRM」なども含まれます。

そもそもライブ配信とは、発信者と視聴者とがリアルタイムで相互にコミュニケーションできる「コミュニケーションツール」です。

「このライブ配信というコミュニケーションツールで何ができるのか」と問いを立ててみると「インフルエンサーが商品を売る」のは、数あるライブ配信施策の1つでしかなく、エンゲージメント獲得やCRM施策にも使えるということがイメージいただけるかと思います。

「ライブソリューション」4つの型

ここから「ライブソリューション」がどういったものかについて、具体的に説明します。

この図は、当社が考える「ライブソリューション」4つのモデルです。

「ライブコマース型」「体験型」「ロイヤリティ型」「CRM型」があります。以下、詳しく説明していきます。

1.ライブコマース型(潜在層✕コンバージョン)

まず1つ目が「ライブコマース型」です。

ライブコマース型の目的は、商品の販売新規顧客の獲得です。一度のライブ配信で、一気に購入や契約まで進めます(従来のライブコマースのイメージ通りというとわかりやすいです)。

たとえば「◯◯社製の掃除機が、1時間限定で40%値引き」のようなタイトルでライブを行い、有名ブランド品が安く手に入ることを訴求します。そして視聴者の購買意欲がわいてきたところに、「配信時間中のみさらに値下げ」などのタイムセール情報を重ねがけして、一気に購入につなげます。

「あの商品がこんなに安く買えるなんてそうそうないし、買っちゃえ!」というパルス型消費(=WEBソーシャルで見かけて、突発的に買ってしまうこと)につなげやすいため、「よく知られているが、高くて手が出せない商品」を特価で販売するときに成果が出しやすい販促です。

実際に当社がインフルエンサーと共同で行った「有名ブランド家電の半額販売ライブ」では、1時間で1500万円もの売上を叩き出したこともあります。

しかし一方で「聞いたことのない無名商品」の販売にはあまり向きません。この場合は、後述するエンゲージメント系のライブが先です。

2.体験型(潜在層✕エンゲージメント)

2つ目は「体験型」です。

体験型の主な目的は、商品の認知や、興味の引き込みです。ライブコマース型と違って「本購入」まで引き込むようなオファーはせず、まずは商品を試してもらうのをゴールとした「種まき」的なライブを行います。

例えば『◯◯愛用の掃除機を語り尽くす!』『春の大掃除を◯◯と語ろう』のようなテーマで、インフルエンサーの名前をフックにライブ視聴者を集め、「商品のある生活」を紹介する。そして商品に興味が移り、試してみたいと思った視聴者へ、リアルの店頭で無料体験やお得な買い物ができるクーポンを配布したり、あるいはサンプルを提供したりして実体験へと誘導します。

「値引きができない場合」や、食品・コスメのような「実際に使ってみないとわからない商材」、フィットネスのような「コト消費」など、本購入のハードルが高いケースと相性が良く、顧客との関係作りをスタートさせる入り口的な施策としても使われます

なお、体験型は購入を目的としないため、CPAだけを見ると悪い数字になりがちです。しかし、ここで得た顧客リストは、後述する「ロイヤリティ型」「CRM型」を経て大きな成果になっていきますし、サンプル利用者の意見はプロダクトの改善はもちろん、販促物や店頭のセールストークの改善などマーケティング全体を見直す大きなヒントになります。(詳しくは後述します)

3.ロイヤリティ型(顕在層✕エンゲージメント)

3つ目は「ロイヤリティ型」です。

この型は、商品やブランドに共感する人を増やし、育てる「ブランディング」「ロイヤリティ向上」を目的とするのが特徴です。他の3つの型と行き来するように繰り返し行い、ユーザーにさらにブランドを深く知ってもらうための情報を配信します。

ロイヤリティ型で特筆すべきは、必ずしもインフルエンサーを起用しない点です。例えば、商品開発者が登場して、自らが商品開発にかけた熱い想いを語ったり、あるいは視聴者と意見交換をしたりするなど、ディープなライブ配信が効果的です。

これによりユーザーの熱量を高め、長い目で見て「新商品が出たら定価でも買います」「待ってました」といったリアクションがもらえる、ファンコミュニティ的な関係性を作り上げていきます。

ロイヤリティ型も、体験型と同じように積極的な販売をしないので、ライブあたりの顧客獲得単価は高騰しがちです。とはいえ、「ロイヤリティ型」のライブでユーザーの愛着や信頼を深めておくと、ライフタイムバリュー(=1人の顧客から生涯にわたって得られる利益のこと。以下、LTV)が高くなります

以上の点から、ロイヤリティ型は、中長期的に見たときに真価を発揮する「長期投資スタイル」のライブだといえます。

4.CRM型(顕在層✕コンバージョン)

4つ目は「CRM型」です。

CRM型では、体験型やロイヤリティ型で関係性を作りあげてきたユーザーに、総合的なプロモーションをかけて、商品購入まで引き上げることを目指します。ユーザーの属性に応じて、ライブに閉じずにいろいろな打ち手を取るのが特徴です。

たとえば、商品の購入や体験が済んでいるユーザーに対しては、以下のようなプロモーションを行います。

・リテンション(「乗り換え・買い替えのポイント」のような配信で後継商品を紹介、別ブランドに流れないようつなぎとめる)
・オプションアイテムの紹介(「さらに便利に使おう」のような配信で、アタッチメントなどオプション品を販売)
・お得意様限定キャンペーン(ロイヤリティ型ライブで関係を作れた人に絞って、DMなどで特別なオファーを用意)
・商品紹介やシェアのお願い

接点があるだけで、まだ購入には至っていないユーザーへは、以下のオファーを出したりもします。

・最後のひと押し(買う前の悩みごとに絞ったテーマでライブコマース型ライブを行い、購入をプッシュ)
・サンプル利用者への声がけ(試した人に絞って、メルマガやDMを打ち、購入をうながす)
・体験の再促進(「サンプル申込みすると抽選で本商品がもらえる」的な懸賞要素付きのライブで体験を促進、取得したアカウントへDMでプッシュ)

ライブ配信だけで見ればライブコマース型や体験型と重なる部分もあります。しかし、ライブに閉じずにSNSのダイレクトメッセージやLINE公式・メルマガなどの施策も併用して、いろいろな角度から購入へとつなぎ込んでいくのが他との違いです。いわば「仕上げ」「刈り取り」的な位置づけにある型ともいえます。

ライブソリューションで販促はどう変わるのか

ここからは、ライブソリューションによって販促やWEB広告がどう変わるのかをお伝えします。

「購入」以外のフェーズもカバーできる

この図は、見込み客が商品を知ってからファンとしてソーシャルで拡散してくれるまでの流れに、ライブソリューションの「4つの型」を重ねたものです。

こうして見ると、ライブ配信はTVショッピング的な「購入」以外にも、あらゆるフェーズの施策をカバーできることがわかります。

たとえば、購入前の比較検討フェーズであれば商品を売る前に「体験型ライブ」でサンプリングをし、顧客と接点を作ることが可能ですし、購入後のリピートやソーシャルへのシェアにおいても「ロイヤリティ型ライブ」が活用できます。

さらには「CRM型」を駆使すれば、ライブを見て「パルス型消費」で購入した顧客データをもとにSNSの「類似オーディエンス広告(=注文者とよく似た属性のユーザーに広告配信すること)」をかけ、さらなる「パルス型消費」を引き起こすなど、ライブ後の販促にも活路が見出だせます。

ブランドの成長にも活用できる

さらには、ブランドの成長にもライブソリューション活用ができます。

上の図のように、ブランドの立ち上げ期は「体験型」でサンプリングや店舗集客を行い、顧客との接点を作っていき、だんだんと顧客の母数が増えてブランド育成期に入ったら「ロイヤリティ型」でエンゲージメントを高め、ブランド確立後には「CRM型」で実際の購入やリピートにつなげていく…といったこともライブで実現できるのです。

顧客データを使って事業単位で販促を見直し

ライブソリューションを「ロイヤリティの高い顧客のデータ収集方法」として活用すると、事業全体の販促を見直すこともできます。

ライブ配信で集められる「ロイヤリティの高い顧客データ」には大きな価値があります。なぜなら、ブランドが想定するセールスポイントと、顧客が求める実際のニーズが一致しているかを精度高く確認できるからです。

例えば、メイク用品のファンデ―ションで考えてみましょう。インフルエンサーが「発色の良さ」を伝えるライブコマースを実施するも、思うような反応が得られなかったとします。

そこで「体験型ライブ」でのサンプリングや、「ロイヤリティ型ライブ」での意見交換を通じて商品利用者の意見を集めてみた結果、自社が強みだと捉えていた「発色の良さ」よりも、「マスクをしても崩れない」という点が評価されていたとしたらどうでしょう。

つまりズレた商品の訴求をしているということですから、そのまま販促を続けても、成果を上げるのは難しいということがわかります。

結果、商品の訴求内容を「マスクをしても崩れないメイク」に変更し、ライブ配信の内容を調整したり、商品パッケージのデザインを変更したり、あるいは実店舗のPOPの訴求内容を見直したりなど、オンライン・オフライン両方のあらゆる販促・プロモーションのズレを解消することができるのです。

また、こうしたズレをなくすことは、「次に作るべき商品」や「新しいターゲット客層」の検討といった中長期的な戦略や企画にも役立ちます。さきほどのファンデーションの例でいえば「花粉症から肌を守るメイク用品」のような開発を検討したり、「花粉症やインフルエンザなどマスクが必要な時期にあわせてインフルエンサーを起用したライブで露出を増やし、SNSの反応を狙う」といったこともできるでしょう。

まずはライブアフターに目を向けてみよう

ここまでで、ライブソリューションについて詳しく説明してきました。とはいえ、いきなりライブソリューションの4つの型を理解して使いこなすのは難しいもの。そこで今すぐできるはじめの第一歩を紹介します。何かというと、まずはざっくり「ライブアフター」に目を向けるところからはじめましょうというお話です。

ライブアフターとは

【ビフォーライブ>ライブ本番>ライブアフター(1)>ライブアフター(2)】

ライブアフターとは、その名のとおり「ライブ後」のことです。

ビフォーライブで集客をし、ライブ本番で配信を行い、その後の対応として大きく2つのフェーズに分けてフォロー対応が行われます。

まずライブアフター(1)では、高騰しがちなCPAを下げ、短期的な収益性を改善します。

具体的には、健康食品の事例で紹介した「CRM型」につなぎこんだり、ライブ動画をインスタグラムのリールなどショート動画に転用したり、あるいは広告のクリエイティブに活用したりする施策を行って、すぐに回収できる需要を獲得していく形です。

そしてライブアフター(2)では、データをもとに、中長期的な収益増加を推し進めます。

具体的には、ライブで得たデータを使って、顧客のエンゲージメント・ロイヤリティを高めたり、ブランディングを見直したり、広告クリエイティブを改善したりして、総合的なCPAを下げていくイメージです。

これまでのいわゆるライブコマースでは、「ビフォーライブ」でいかに集客し、「ライブ本番」でいかに売上を作れるか。つまりライブ開始前から実施までを重視する傾向がありました。しかし、ライブソリューションをもとに考えると、これからは「ライブアフター」こそが重要になってくると言えます。

ライブアフターが重要になる理由

なぜライブアフターが重要かというと、冒頭からお伝えしているように「エンゲージメント獲得の重要性」が高まっているからです。

もちろん、従来のライブコマース型のような、ライブ本番を中心とした施策もまだまだ有効です。ライブアフターまで意識せずとも、短尺のライブを獲得型広告で流していけば、CPAを抑えて収益を上げることもできるでしょう。

しかし、こうした「点」で稼ぐ配信は、手を止めれば実績も止まりがちです。長い目で見ると効果は落ちていきますし、獲得型の広告手法は頭打ちになってきていることからも、どうしても効率が悪くなってくるところは否めません。

だからこそ、今後のWEB広告では、エンゲージメントを起点とした「線」のLTV向上も重要なのです。

まずはざっくりでもライブアフターに着目し、中長期的なLTV目線を持ってライブ販促と向き合えるようになること。そしてエンゲージメント獲得の重要性が理解できたら、ライブソリューションの理解を深め、目的や情報に応じた適切なライブ施策を打てるようになっていくこと。

ここをぜひ意識するようになさってみてください。きっと、新しい販促の形が見えてくるはずです。

ライブソリューションならWEB広告はまだまだスケールする

今回は「ライブソリューション」という考え方をもとに、以下のようなことをお伝えしてきました。

・ライブ販促は、商品を売るだけではない。目的に応じていろんな用途に使うことができる
・たとえばエンゲージメント(顧客との関係づくり)や、ロイヤリティの高い顧客データの収集にも活かせる
・集めたデータをクリエイティブ改善やCPA改善に活かせば、事業全体の収益性を高められる
・まずはアフターライブの意識から。エンゲージメントに目線を切り替えることで、中長期的なリターンを大きくしていく

WEB広告の現状は厳しいですが、ライブソリューションを駆使すれば、まだまだスケールさせられる余地があると当社は考えています。

普通のWEB広告に頭打ち感を感じていたり、ライブの販促活用の仕方がよくわかっていなかった方の参考になれば幸いです。

なお、ライブソリューションをどう実践していけばいいのか、悩まれた場合には、以下のお問い合わせボタンからLIVURU(ライブル)までご相談ください。

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